メキシコと言われ、先ず何が思い浮かびますか?
最も多そうなのは「ソンブレロ」(メキシコの帽子)をかぶったメキシコ人やサボテンではないでしょうか。そうあのアメリカの西部劇に出て来るような。ちなみに私は危険な国とコロナビール(スペイン語ではセルベッサ/Cerveza)でした。国境沿いの町「ティファナ(Tijuana)」のドラッグまみれの日常(今日アミーゴのフアンが撃たれたとか)を綴った本を読んでいて、ビールが好きだから。
私が初めてメキシコに来たのは今から11年前の1994年秋のこと。
友達が住んでいると言うだけの理由で、ロサンゼルスに旅行に行くついでに「寄る」と言う感覚でメキシコの地に降りました。もちろん当時「寄る」感覚のメキシコに自分が住むことになるとは想像もしませんでした。だって、メキシコシティの空港を降りるやいなや、タクシーのおじさん達にしつこく「Taxi!」「Taxi!」[Taxi~!」と声をかけられだけでなくずっと行く先まで付いて来られて、とんでもないところに来てしまった自分が嫌になり、真面目にそのまま帰りたかったから。
でもメキシコ人さえも「世界で一番危険な街」と呼ぶメキシコシティでも、ある意味物理的なものではなく、日本人が忘れてしまいそうな、アメリカのような国では感じることができないメキシコのよさを少し滞在して分かった、感じたんです。メキシコのよさと言うのはメキシコ人そのもので、メキシコ人がいるメキシコが大好きになってしまいました。これは一例だけど、全くスペイン語が話せない私と辞書を捲りながら話したり、それまで知っていた海外アメリカや韓国と全く違う、優しく人懐っこいメキシコ人がいたんです。人間臭いメキシコ人が。
アメリカに旅行された方はご存知だと思いますが、アメリカでは一般的に英語を話せない人間は、人間として認めてもらえません(あからさまに態度として表すことはほとんどありませんけど)。LAやNYのような都会であれば外国人慣れしているので何とかなる場面も多いのですが、一度LAの郊外に出てファックスを送るためにあるお店に立ち寄ってた時に「ファックス」の一語でお店の人に獣を見るように扱われたことがあります(正しく「扱われた」と言う感じで)。
日本人の発音する「ファックス」はどうしてもあの「Fu○k」に聞こえるらしく、お店の彼女は変態、狂人が来たと思ったようです。
でも当時の私は何故彼女が理解しようともせず、しかも犯罪者を見るかのように私に接する彼女の思考が理解できず、とにかく理解してもらおうと「ファックス」を向きになって連呼してしまいました。しばらくして偶然日本に住んだことがある人がお店に来て助けてくれたので無事お店を去ることができましたが、今思い起こしてもあのままファックスを連呼していたら銃で撃たれたかも...なんて想像するとゾッとします。
一方メキシコは数さえ分からなくても、本当に根気よく相手の話を聞いてくれます。メキシコ人も自ら「多くのメキシコ人は外国人には特に(時には異常に)優しい」と言う位です。
前述のようにメキシコ人とは辞書片手にコミュニケーションを取ることもできるし、発音が可笑しく理解できなくてもメキシコ人は優しい眼で「コモ?」(なーに?)と聞き返してくれます。